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2023年 メッセージ

教科書にない経営

教科書通りでうまくいくなら、世の中は成功者で溢れている。
しかし現実は、成功者と呼ばれる人はほんのひと握りどころか「ひとつまみ」である。
しかも、奇想天外な発想で成功を引き寄せ、必ずしも教科書には忠実な人ではないような気がする。

「在庫は少なければ少ないほうが良い」と教科書は説くが、
これは売り手側の勝手な論理であって、買い手側から見れば、
品揃えも豊富で売り切れることのない量を確保してもらいたいものである。

「在庫回転率」をやけに重視する人もいるが、これも売り手目線であって、
買い手から見れば在庫回転率などは全く意味を持たないただの数字である。
他にも経営指標は山ほどあるが、どれもわが社目線のものばかりで、
顧客側から見ればどうでもいいものばかりである。

P/Lで企業の優劣、格差を語る人が多いが、本当の実力はB/Sを見るべきだろうと思う。
P/Lは売上と収益だけは見えてくるが、B/Sには企業の考え方や方向性、社長の考え方まで手に取るようにわかる。
おまけにお金の使い方、配分まで見えてくる。
だから、バランスシートを読み解くチカラを鍛えるべきだと思う。
売上と利益は知っているが、バランスシートの構造まで知る社員は少ないだろう。
これでは海図なき航海をしているようなものである。

M&A流行りの世の中ではあるが、
当社には、物流投資=M&Aという考え方があるのも知っているだろうか。
簡単に言えば、物流センターを建てて、棚を置いて在庫を置いて販売すれば、
企業買収をしたのと同じ効果があるという考え方である。
M&Aに頼ることなく自己成長を目指す企業をオーガニック企業とも呼ぶ。
当社はこれからも歩みは遅くとも、自己成長で成長し続ける企業でありたいと思う。

もう一つの流行りは自社株買いである。
新聞にこの文字が載らない日はないが、発行済株式総数を減らす、
すなわち分母を減らして1株当たりの指数を高めて、株価上昇を期待するものだが、
まったく企業の生産力、販売力、企業力が高まるものではないことを知っておくべきである。

そもそも、発行済株式数を減らさなければならないほど、
株式を発行した過去の無作為に問題があるのではないだろうか。

企業は成長のための施策を練り、それに資金を注ぎ込むべきだと思う。
こんなこと、あんなことにもチャレンジしてみたい、これが本来の企業のあるべき姿だと思う。
自社株買いしか思いつかないようであれば夢がない。

今回のお話は直接ビジネスには関係ないものであるが、
お客様との会話の中でも出てくることもあるだろう。
「私は良くわかりません」では情けない。

成功の秘策は決して教科書には載っていないことと肝に銘じ、
奇想天外な発想で成長につながるアイデアを生みだす一年として欲しい。

(令和5年1月5日 年頭の挨拶より)

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